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スキー天国へもう1度
▼サムエル・ウルマンの言葉に反して、青春を人生の中の一時期のことと考えるなら、40代も半ばを過ぎた今の僕には、青春時代に置いてきたものがあまりに多い――。▼「君さぁ、北海道出身ならスキーできる?」。昭和の終わり頃、東京の会社の就職試験の面接で聞かれた。バブル景気とスキーブームが一緒にやってきたような時代に憧れのテレビ業界に就職できたのは、面接で「スキーができる」と答えたからではないかと今も思っている。▼東京の雪を初めて見たのは、仕事が覚えられず都会にも馴染めず、おまけに遊び友達もできずに毎日落ち込んで暮らしていた時だった…。そんな頃、職場のスキー旅行が決まった。先輩や同僚の多くが初心者だったので、函館にいた頃はごく普通のレベルだった僕でも、みんなから「うまい」と言われた。以来、職場の先輩や同僚がスキーに行く時は必ずといっていいほど誘われるようになり、東京暮らしが少し楽しくなってきた。あの頃、僕はスキーに救われた。▼先輩のクルマに乗り関越自動車道を通って、苗場スキー場によく行った。スキー場には、ゲレンデで見れば可愛さ5割増(失礼)の真っ白なスキーウェアに身を包んだ女子がたくさんいた。行き帰りのクルマの中でユーミンの『ロッジで待つクリスマス』を何度聞いたか分からない。年末が近づくと、映画『私をスキーに連れてって』の影響を受けた先輩や同僚は、新年最初に会う人が好きな人であることを願った…。▼青春時代に様々なものを置いてきた僕だが、スキーはいまも現役でいる。板の性能が良くなったことも手伝って、40代になってからのスキーはなかなか快適だ。▼様々な理由で青春時代にスキーという趣味を置いてきた方も多いだろうが、機会があればぜひ、ゲレンデに返り咲いてみてはいかがだろう? 白銀の世界で大きくターンして粉雪が舞う瞬間は、たとえ体力が衰えてきた今でも最高だ。若い頃より雪山の美しさに見とれる心のゆとりもある。あの頃、僕達を魅了したスキー天国は今も変わらない。そうそう、できれば家を出る時のクルマのオーディオの最初の1曲は、ユーミンの『サーフ天国、スキー天国』にしてみて…。若い頃に置き忘れてきた素敵な気持ちがすぐに甦ってきて、「青春とは心の様相を言う」というサムエル・ウルマンの言葉を実感することができると思うから…。(慎)

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